薬剤師コラム
薬と健康の週間特集コラム① 睡眠不足が体の不調に
「健康に良いことはだいたい嫌われるものだが、人が唯一好むものがある。
それは、心地よい夜の眠りだ」
- エドガー・ワトソン・ハウ (1853-1937)
薬剤師のSです。
皆様は良く眠れていますか?
今年も北海道らしからぬ暑い日が続き、留萌市も8月は実に10回も最高気温が30℃を超える真夏日を記録しました。
熱帯夜とされる最低気温が25℃以上だった日も3回あり、寝苦しい夜もあったかと思います。
睡眠不足が体の不調に
睡眠不足を起こすと一般に交感神経の働きが強くなり、体の中では様々な反応が起こります。
○血管収縮 ⇒ 血圧上昇・頭痛
○心拍数増加 ⇒ 動悸
○血流阻害 ⇒ 首・肩こり
○消化抑制 ⇒ 便秘傾向
などなど・・・
軽度のものから生活に支障が出てくる強度まで様々です。
より良く眠るために大事なことは
では睡眠時間はどれくらいが良いのでしょう?
世界保健機関(WHO)によると1日7~9時間の睡眠を推奨していますが、実際には睡眠時間は幼少期ほど長く、高齢になるにつれて短くなってくることが報告されています。
中には、例えば3時間で満足な人もいれば、逆に9時間寝ても足りないと感じる人もおり、「量」よりも「質」が重要なのかもしれません。
では質の良い睡眠を取るには何をしたら・・・と考えがちですが、この「神経質になりすぎる」ことも睡眠不足に陥りやすい一因です。
質を上げようとするのではなく、質を落とさないようにすると良い、と考えみてはどうでしょうか?
眠るためにはリラックスが必要です。
ただしリラックスしようとする、のではなく、リラックスを邪魔するような緊張や興奮してしまう事態を避ける、と考えると少し見え方が変わってくるかもしれません。
その行動、悪影響につき
この仕事をしていると耳にするのが「若い頃は眠れたのに年を取って眠れなくなった」という言葉。
確かに不安に感じるかもしれません。
ですが先にも述べた通り、眠りの時間は若い頃に比べてほとんどの場合短くなるため、短いことが問題であるとは言い切れないのです。
実際に高齢者では「床上時間」つまり「寝床で過ごした時間」が長いほど死亡リスクが高いという研究結果が出ています。
眠れないから、あるいは長く寝ようとしてアレコレする方がかえって興奮してしまい、結果として睡眠不足に繋がるおそれがあるのです。
強い光や大きな音も交感神経を興奮させる方向に働きます。
近年はパソコン、スマートフォンやタブレットなどの普及により、ゲームやインターネット、SNSなどを夜遅くまで利用し、強い光や大きい音に触れる機会が多くなっています。
中学~高校、大学生に頻度の高い睡眠障害の一つに、「睡眠相後退症候群」というものがあります。
文字にすると難しいですが、要は夜遅くなっても眠れず(あるいは眠らず)朝は逆に起きられない、睡眠時間がズレてしまう状態です。
無理やり起こしてもなかなか活動が出来ず、時として暴力や異常行動を起こす事もあり、また慢性化することで遅刻や欠席が増え、不登校にも繋がる可能性があるため早めの対応が必要です。
よく「規則正しい生活」と言われますが、睡眠と覚醒のバランスは実はかなり重要です。
人間の体内時計は1日25時間前後と言われており、そのままでは徐々にズレてしまいますので、朝に太陽光などをしっかりと浴びるなどして、その時計をリセットさせる必要があります。
タバコや深酒も睡眠不足を引き起こすことが知られています。
朝食を抜いたり、寝る直前に夕食をとったりすることも睡眠への悪影響となりますので、不規則な生活には十分注意しましょう。
心地よい眠りを目指して
今回このコラムを書こうと思ったのは、少し前にリリースされたとある睡眠管理アプリを私自身が利用していく上で、睡眠について学んでみようと思ったのがきっかけでした。
睡眠はいまだ謎な部分も多い分野であります。
明確な答えがない、だからこそ人それぞれ違って当たり前、そういうものなのかもしれません。
拙い文章ではありましたが、少しでも睡眠とはを知る機会になれば幸いです。
「自分に合った」睡眠、皆様も見つけてみてはいかがでしょうか?